電気かんな(日立電気大工)について、仕様、組み立て方や使い方などをまとめてみました。
(このページでは1978年モデルを使用します)
電気かんなについて
木材のかんな仕上げができます。
使用上の注意
※電気かんなを使用するときは次の項目に特に注意する。
- 切粉排出口には絶対に指を入れない!
削りくずを取り出すために排出口に指を入れないこと。吐出口の後方に鋭い刃物があります。 - 上向き(定置型)で使用しない!
上向きでは安全保護が施されていないため絶対に上向きで使用しないこと。 - ブレード(かんな刃)の刃先に注意!
ブレードの脱着時には刃先に注意すること。少しの不注意でケガをしやすいです。 - ブレードの締め付けは十分に!
ボルトの締め付けが不十分だったり締め付けを忘れると運転時にブレードが飛び出して危険です。 - 被削材に釘などがないことを確かめる!
釘や異物はブレードの損傷や異常磨耗をの原因になります。
電気かんなのセット構成部品
- 電気かんな本体
- カップリング
- 刃研ぎ保持具
- ボックススパナ
- 砥石
- 刃高調整定規
仕様
切削幅 | 82mm |
最大切り込み深さ | 1mm(0〜1mmまで連続的に調整可能) |
電気かんなの組み立て方
以下の要領で組み立てます。
カップリングをモートルに取り付ける
- カップリングをモートルのスピンドルにネジ込む。
- 12mmのスパナ(A)と15mmのスパナ(B)でしっかり締め付ける。
モートルの取り付け
- カップリングとプーリー穴の位置を合わせます。
- モートルのギヤカバー部をマウント穴に差し込みカップリングとプーリーを結合させる。
- モートルのハンドルを使いやすい位置に調整してセットボルトを締付ける。
使用する前に
※この場合必ず差し込みプラグを電源から抜いておくこと。
ブレードの締め付けを確かめる
- ブレードの締め付けボルトが緩んでいないことを必ず確かめてください。
- 緩んでいる場合はボックススパナでしっかり締めてください。
ベルトの張り具合を調べる
- ベルトは使用中多少伸びることがあるので念のため調べてください。
張り方の詳細は下の「ベルトの張り調整」を参照してください。
電気かんなの使い方
以下の要領で使用します。
切り込み深さの調整
- 切り込みの深さは0〜1mmの範囲で自由に調整できます。ノブを目盛板の矢印方向に回すと深くなり、反対に回すと浅くなります。
- ブレードの三角マークの頂点に希望する切り込み深さの目盛線を合わせれば所定の切り込み深さになります。
- ノブを必要以上に反対方向に回さないでください。ノブが外れて内部の部品を痛めます。
- ノブを反対方向に回しすぎて0位置がわからなくなった場合、目盛りを0に合わせて前後ベースに刃高調整定規を当てて確認してください。目盛り0で両ベースにぴったり合ったところが切り込み位置0の位置です。
削り方
※電源プラグを差し込む前にモートルのスイッチが切れていることを確認すること!
- 右手でモートルのハンドルをしっかり握り左手でかんな本体のノブを軽く握りフロントベースを木材にのせて平らに支えます。
ブレードが木材に触れない位置でスイッチを入れ回転が上がってから静かに前へ進めます。 - 削り始めや削り終わりにかんなが傾くと大きく削れます。
削り始めはノブのほうに、削り終わりはハンドルの方に力を入れてください。
使用上の注意
- 電気かんなの運搬はブレードが止まってからにすること。
- 運搬時にはスイッチの引き金から指をはずすこと。
- 機体を床や作業台の上に置くときはフロントベースやリヤベースをぶつけたり刃先を欠いたりしないよう注意すること。
- 木材の種類によっては最大切り込みでは削りくずが詰まることがあるので、切り込み深さを浅くする。
- 広い木材を削るときは前方に吐出された削りくずで排出されにくくなることがあるので時々削りくずを除けること。
- 特に湿気の多い材料は切削中の削りくずが吐出口に詰まりやすいので注意する。
※削りくずを取り除くために指を吐出口に入れることがないよう十分に注意する!
かんなの送り速度
- 通常、切り込み深さ0.5mmの時に毎分3〜4mの速度で送りますが、削りくずが詰まらずきれいに飛び出すよう加減する。
- 切り込み量を多くして荒削りをする場合は毎分3mくらいにする。
- 節など硬い部分を削るときは速度を遅くすること。
- 送り速度を遅くするときれいな面になる。
※切削時の送りが速すぎると使用中にベルトがスリップしたり外れることがあるので十分に注意する。
水返し作業をする場合
窓台、敷居などで水が侵入しないように設けた段になった部分を「水返し」といい、このような段を作る作業を「水返し作業」といいます。
次のようにしてブレード位置を調整して作業をすると最大5mmまでの段違い切削ができます。
ブレードの位置調整
※この場合必ず差し込みプラグを電源から抜いてください
まずブレードの締め付けボルトを緩めます。
次にフロントベースとリヤベースの側面(ベルトと反対側)に刃高調整定規を当ててブレードの端面を定規に合わせます。これでブレードの長手方向の位置が決まります。
「水返し作業」の仕方
「水返し作業」には二つの方法があります。
- 木材にあらかじめ案内用の溝を切っておく方法
- 木材に案内用の板を仮付けしておく方法
「案内用の溝を切っておく方法」の場合
- 段の境目に溝を切ります。
- 始めはフロントベースの端面(後ろから見て左側)を溝に沿わせて削っていきます。
- 切削深さが1mm程度になったら溝の側面にフロントベースとリヤベースを押し付けるように削っていきます。
「案内用の板を仮付けしておく方法」の場合
- 段になる部分の上に厚さ3mm程度の板を釘などで仮付けします。
- フロントベースとリヤベースの側面をこの板に押し付けるようにして削っていきます。
- ある程度削ったら板を取り除いて作業してください。
※注意
- 「電気溝切り」のカッターを使用すると簡単に溝切りができます。
- 溝の深さは段の高さかあるいは仕上げ代で考え、これより幾分少なくするのが適当です。
ベルト張りの調整
※この場合必ず差し込みプラグを電源から抜いてください
- マウントを締め付けている2本のボルトを緩めモートルのハンドルを下側に押し付けると張りを強くできます。
- モートルのハンドルを下側に押し付けた状態でボルトを締め付け張りを固定します。
- 張りの強さはベルトカバーの窓から直径4mm以上の適当な棒でベルトの中心部を押し、1mmくらいたわむ程度にしてください。
ベルトカバー側面の窓から確認できます。(目盛りの間隔は2mmです)
ベルトの付け替え
以下の要領で作業します。
外すとき
- プラグを電源から抜いてモートルをかんなから外します。
- 2本の小ネジを外しベルトカバーを外します。
- 2本のボルトをゆるめマウントを前方に動かしベルトをゆるめます。
- マウントが前に出た状態でボルトを仮り締めしておきM8ナットを外します。
- プーリーをベルトで挟むように持ちシャフトを押してプーリーとベルトを外します。
付けるとき
- プーリーをベルトで挟むように持ちシャフトをマウントのモートル取りつけ口から押しM8ナットを締め付けます。
- 小さい方のプーリーにベルトを掛け、マウントを軽く後ろに倒します。
- ベルトカバーをかぶせ2本の小ネジで締め付けます。
- 張り方は上に記した「ベルトの張り調整」を参考にしてください。
ブレードの取り付け・取り外し
この場合必ず差し込みプラグを電源から抜いてください
取り外すとき
- 2本の小ネジを外してベルトカバーを外し、ベルトを動かしてカッタブロックを回転させてフロントベースとリヤベースの隙間の中心に締め付けボルトが来るようにします。
- ブレードの締め付けボルト2本をボックススパナで外すとカッタブロックからブレードとブレードホルダが一緒に外せます。
ブレードは鋭利な刃になっているので刃を掴まず両端を指で掴んでください。
取り付けるとき
- ブレードやカッタブロックについている削りくずをきれいに拭き取ってください。
- 刃高調整ネジの頭にブレードの角穴を合わせてブレードホルダと一緒にカッタブロックに取りつけます。(締め付けボルトを軽く締め付けておく)
- 調整ネジをドライバーで右に回すとブレードが入り、左に回すと出てきます。
- 刃高調整定規をリヤベース上に立て、刻み線の部分のところでブレードの刃先が刃高調整定規に軽く接するよう調整ネジを調整します。
- ブレードの刃先は一ヶ所だけでなく両端で接するようにしてください。
- ボックススパナで締め付けボルトを十分に締め付けます。なお調整ネジも回転中に動かぬようブレードの角穴いっぱいまで締め付けてください。
- 最後にベルトカバーを被せて2本の小ネジを締め付けます。
※注意
- ボックススパナのハンドルにパイプなどを差し込んで長くして締め付けると、ネジ山を破損したりボルトを破断するので絶対にしないでください。
- ボルトを締めたり、ゆるめたりするときはボルトの頭部にボックススパナを完全に入れてから行ってください。
ブレードの研ぎ出しについて
刃研ぎまでの時間と研ぎ代について
刃は材料の種類によって研ぎ直しまでの時間が違いますが、100mほど削ったら研ぎ直してください。
なお、有効なとぎ代は3.5mmくらい、刃のたけ25mmまでとぎ直して使用できます。
研ぎ方は
普通の手かんなの刃をとぐ要領でよいですが、付属の刃とぎ保持具を使用してください。
砥石は付属の水砥石を十分に水に浸してから使用してください。
刃とぎ保持具の使用はつぎの要領で行ってください。
- 2枚の刃の刃面が同一面上に位置するようにそれぞれ保持具に取り付け鍋小ネジで固定します。
- 2枚の刃面は砥石面上に所定の刃先角で安定して置かれるので簡単に2枚の刃を同時に研ぐことができます。
※注意
刃のたけの異なった2枚を同時のとぐ場合は、2枚の刃面が砥石面に当たらないので、刃を出し入れして2枚の刃面が同一面上になるように調整してください。
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