リン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LiFePO4)が安かったので購入。今回はこれを古いポータブル電源の使えなくなった鉛バッテリーと交換してみようと思います。
リン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LiFePO4)とは
まずは今回購入した「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LiFePO4)について調べてみました。
その名の通り「リン酸鉄」を材料に用いたリチウムイオンバッテリー(二次電池)で、次のような特徴があります。
- 安全性が高い:内部が発熱しにくくなっているため過充電・過放電、高温環境下でも爆発・発火のリスクが少ない
- 耐熱性が高い:リン酸鉄の耐熱温度がマンガン酸リチウムやコバルト酸リチウムに比べて高い
- 自己放電率が低い:鉛蓄電池に比べて自己放電率が低い
- 幅広い動作温度範囲:動作温度範囲が-20℃〜60℃と広く性能が安定している
- 環境負荷が少ない:材料にレアメタルを使用しないため環境に優しい
- 長寿命:鉛蓄電池に比べて寿命が長く充放電サイクルも多い
デメリットとしては容量に対するコストが高いため鉛蓄電池に対して価格が高い、というところでしょう。
LiFePO4 リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを購入
価格の問題
LiFePO4バッテリーには多くのメリットがあり、将来は鉛バッテリーの置き換えに適したものだということがわかりました。
しかし数年前は鉛バッテリーに対して価格が高額だったため、費用対効果を考えると購入するのは時期尚早かなぁと感じたのものです。
安価なLiFePO4バッテリーを発見
我が家では簡単な太陽光発電を実験的に導入しているのですが、現在使用している鉛バッテリーが使えなくなった時の置き換えにリン酸鉄リチウムバッテリーどうだろう?と思い、よく使う大手通販サイトを眺めていました。
あれこれ見ていると、10Ah以下の小容量バッテリーが5,000円前後で販売されているのを発見。
同サイズの鉛バッテリーは数年前まで2,000円以下の価格でしたが、ここ最近は3,000円近い価格に上昇してしまいだいぶ価格差が縮まっているようでした。
ちょうど古いポータブル電源の鉛シールドバッテリーが寿命で使用不可になっていたので、LiFePO4バッテリーの実験もかねて交換用に購入してみることにしました。
ということで、いくつかあった候補の中からTimeusb社の一番安価な12V 6Ahモデルを購入しました。
Timeusb 12V 6Ah リン酸鉄リチウムイオンバッテリー 76.8Wh LiFePO4
信頼性や寿命など、購入するにあたっては様々な検討をすべきですが、今回は実験目的なので一番安価なものを選びました。
値引等があって価格は3,300円程度となり、同サイズの他の商品に比べてかなり安く購入することができました。
内容・サイズなど
個性的なイラストが描かれた箱の中身はこんな感じ。
ラベルの安っぽさは否めませんが、ポータブル電源のケースに入れたら見えなくなるので気にする必要はないでしょう。
安価な商品の割にはしっかりした日本語の説明書が付属するのは好印象です。
仕様、充電・保存の仕方の他、バッテリー容量の計算方法や直列/並列接続の仕方など必要十分な内容となっていましたよ。
商品到着後のバッテリーの開放電圧は13.2Vとしっかり充電されていて、このまま使用を始めることも可能な状態でした。
鉛バッテリーとLiFePO4バッテリーの比較
一通り中身を確認したので同サイズの鉛シールドバッテリーとの比較をしてみます。
外観上の違いなど
比較対象はこれまでポータブル電源に内蔵していたLONG社のWP7.2-12(12V 7.2Ah)です。
見ての通りサイズは同じで内蔵する上での互換性はアリ。
接続端子は鉛バッテリーのほうがF1端子(#187)で今回購入したLiFePO4バッテリーがF2端子(#250)でした。
バッテリー単体での重量は、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーが実測810g、鉛バッテリーは2kgを超えていたので計測不能(商品ページには2.4kgと記載)
約3分の1の重量ということで、実際に持ってみると非常に軽いです。
持ち運びをするポータブル電源に使う場合この差は大きなメリットとなるでしょう。
ポータブル電源「DC WORK M-1」
購入したLiFePO4バッテリーの動作確認ができたので、内蔵するポータブル電源の状態を見てみます。
外観と機能
購入したリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載するのは以下のものです。
いつ買ったのか忘れましたがだいぶ前に中古購入したBELViC社の「D.C WORK M-1」というポータブル電源です。
本体のみで充電器や説明書などは付属していませんでした。
前面には12V出力のシガーソケットが二口、メインスイッチ、バッテリー容量を示すインジケーターが付いています。
元々は日立製12V 6.5Ahのシールドバッテリーが内蔵されていましたが、寿命になったので前述のLONG製12V 7.2Ahのものに交換していました。
背面には充電用のジャック(5.5×2.5mm)と平型ヒューズ10A、仕様ラベルがあり、上面にはプッシュ型2端子の出力ターミナルがあります。
型番で検索してもメーカーのサイト等はヒットしませんが、こちらのブログで詳細が紹介されています。
分解と接続端子の加工
内蔵バッテリーを交換するには本体背面に見える8本のネジを外して分解する必要があります。
今回は接続端子がサイズ違いだったため、こちらを交換するために回路部を本体から分離しました。
回路はこのようになっていました。
これらは、インジケーター基板と充電用ジャック、ターミナルを固定するネジ(6本)を外せば本体から分離できます。
交換するLiFePO4バッテリーの端子がF2端子(#250)だったので、交換用に250サイズのファストン端子を用意しました。
価格は10個入り100円ほどで購入可能です。
元々付いていた187サイズのファストン端子を切断し、電工ペンチを使って250サイズのものに交換しました。
今回バッテリーを交換するにあたっては内部の配線を太いものに交換しようか?と考えましたが、元々内蔵されていたバッテリーが6.5Ahのものだったので、6AhのLiFePO4バッテリーに交換するならそのままでも良いだろうということでそのままにしておきました。
バッテリーの交換と動作確認
配線の接続端子を交換したら新しいバッテリーを接続して本体に内蔵。
8本のネジで固定してバッテリーの交換は完了です。
電圧を表示できるシガーアダプターを接続して電源をオン!
本体内蔵のインジケーターも100%表示でシガーアダプターにも通電されて動作確認はできました。
(手持ちのこのシガーアダプターは電圧表示がテスターでの計測値より0.2Vほど低く出る傾向でした)
終わりに
ということで、ポータブル電源内蔵のバッテリーをLiFePO4に交換できました。
商品が届くまで接続端子のサイズが不明だったので配線の加工が必要となりました。
一手間ありましたが普段からDIYする方なら簡単な作業でしょう。
なおヒューズは10Aのままで良しとしました。
元々入っていた鉛バッテリーが6.5Ah、交換したLiFePO4バッテリーが6Ahでマニュアルには「ピーク電流(5秒):15A」との記載がありました。
今回の実験では大電流を流す機器の接続を想定してないので10Aのヒューズで問題ないでしょう。
実を言うと、ノートパソコンのバッテリーから取り出した18650の生セルがいくつかあるし、BMSを組み合わせて鉛バッテリーのケースを利用しものを作るのもいいなと考えていました。
ただスポット溶接の手間や中古電池のばらつき等を考えると安全性に疑問が残るし、安全性の高いリン酸鉄リチウムイオン電池が安価に入手できるならそちらのほうがいいだろう、となった訳です。
さて、内蔵バッテリーを交換したポータブル電源の使い道について。
これは使用可能時間や充電方法など、実際に使用しその結果などと合わせて別の機会に紹介してみようと思います。
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